ポリッシュ「オンクリアー」(アルミ素地磨き加工)特有のシミ・腐食について

クリアー塗装されたポリッシュホイール(リム&ディスク)のシミ、腐食は避けられない宿命です。
なぜシミ、腐食が起きるのか?
ダイヤモンドカットオンクリアー新品卸しで僅か2年で全て角部からの水の浸入により発生した白ミミズシミ現象です。屋外で使う以上角部への水の浸入は避けられませんので毎日手入れしても無駄な抵抗となる自然腐食現象です。
一部商品を除いて市販されている量産品のポリッシュホイールはアルミ素地の上へ量産用の溶剤1液型のクリアー塗装をしてあります。本来塗装とは足付けのため下地がある程度荒い方が密着性、耐久性が向上します。それに反してしポリッシュのような磨き表面は塗装密着が弱く、しかも塗膜が薄く肌が弱い1液型のクリアー塗装では飛び石による傷や角部からの水の浸入でアルミとクリアーの間に水が挟まったままの状態となりクリアー下に忍び込んだ水分で白シミ、腐食などが現われます。2〜3年の内に100%白シミ、腐食はが出てきますこれが避けられないオンクリアーポリッシュの宿命です。
特にキャップ、スタットボルト、ピアスボルト、バルブなど穴あけ加工箇所やリム端またスポーク角部などはクリアー塗膜がはじくため塗膜が表面より薄くなります。そのため角部付近から水や汚れが浸入して腐食が始まります。さらに使用中、
飛び石によるホイールへの損傷は絶対に避けられません。

同じ溶剤系クリアーでも後塗りのワンオフクリアーはアクリル系硬質2液型を使用していますので量産式1液型クリアーより肌が硬くさらにやや厚めに重ね塗りしますので耐久性も多少は期待できますが完全とは言い切れません。

オンクリヤー面に飛び石傷やガリ傷が付けばクリアーが傷ついて一部剥げてしまいます。
傷付き剥げた箇所から水が浸入します。浸入した水や汚れはクリアー下層とアルミ上面との間に閉じ込められてしまい蒸発、乾燥出来ず湿って密封された状態となりカビが生えて虫食い腐食が進行して最後にはアルミ素地内部まで犯されます。
雨ざらしの中で屋外へ長く放置したホイールに「白ミミズ腐食」が顕著に現われのもそのためです。
※注):オンクリアーで腐食、虫食いが入ったモノはいくら磨いても完全に元には戻りませんので白シミが入りだしたら早めの処置が必要です。
36年前のノークリアーホイール
退色、艶落ちはしても「腐食」はこの程度です。
12年前のオンクリアーホイール
退色、艶落ちは少なくてもクリアー下に忍び込んで
「白シミ、腐食、虫食い」は進行します。
乾燥した所へはカビは生えませんが、水気、湿気がある所へはカビが生えるのと同じ現象です。
インナーリムは汚れてやブレーキパッド痕は付きますが、インナーリムは剥き出しかカラー塗装のため虫食い腐食の現象が起きないのもそのためです。
※下記例題写真説明を良く読んでください。

ポリッシュホイールの代表的なシミ・腐食
ポリッシュ素地の表面上は透明なクリアーのためシミ・腐食が透けて見える現象です。

角部などクリヤー塗装膜の薄い箇所の自然剥離や上面に飛び石傷やガリ傷が付けばクリアーが一部剥げてしまいその傷口から水が入り込みます。浸入した水気がクリアーとアルミの間に入ったままで常に湿った状態となるため虫食い腐食が起きてきます
穴あけ加工面やスポーク角部など境目からのシミ・腐食 ピアスボルトの絞込みと飛び石によるシミ・腐食

SpeedLine-1Ps

DAYTONA-1Ps

AMG-3Ps

LM−2Ps
ガンメタ塗装部は全く痛んでいませんが、ポリッシュ部から水シミの腐食が現れます。 白シミだらけの悲惨な状態に劣化した切削式ダイヤモンドカットの表面です。 ポリッシュリム上から直にピアスボルトを組んであるホイールはボルトによりクリアー面が絞られ一部切れてしいそこから水の浸入により腐食が始まります。 よくあるLMのミミズシミです。バルブ穴開け付近とフランジ角部付近それ以外は飛び石による傷から水の浸入によるポリッシュ面への腐食現象です。ゴールドディスク部はカラー塗装のためミミズ錆びは出ていません。
1Psホイールの腐食は全て共通します。 2・3Psホイール組み立て式は構造により変わってきます。
1Psホイールは一般的に窓部やスポークサイド面はカラー塗装してあります。そのカラー塗装部は痛みが無くポリッシュ部のみ塗装劣化が進むのは下地がツブ肌仕上げのカラー塗装に対してツル肌の仕上げのポリッシュでは塗装の密着性が劣り、さらに下処理塗装の違いから塗装の耐久性の差が出てくるためです。 写真右LMのオーバーヘッド型はディスク面へピアスボルトを組んであるためピアスボルト絞りは関係しませんが、写真左AMGのような旧式のアンダーディスクやサンドイッチ型はリム上から直にピアスボルトで締めてあるためクリアーが絞られ切れてしまいボルト付近から腐食が始まります。 2・3Psホイール構造についてこちら

ポリッシュオンクリアー・ノークリアーの長所・欠点
ポリッシュ研磨完成後のクリアー塗装の有無はご要望の応じて対応いたしますがどちらも一長一短がございますので良くご理解ください。

オンクリアー(クリアー塗装有り)の特性
アルミ剥き出しは酸化白ボケ現象や水泥が付いてそのまま放置すればシミの原因となります。それらを防ぐためにクリアー塗装で保護皮膜をかけます。
1・鏡面研磨終了後のフィニッシュ時の光沢輝きからプライマー、クリアーコートをした時点で光沢輝きは1割ほど落ちます。
2・年数劣化により角部よりアルミ素地とクリアーの間へ水が浸入してに白シミ、ミミズシミ、塗装の浮き、また飛び石によるクリアー剥げなどポリッシュ仕上げ特有の損傷劣化は避けられません。  
3・一部の傷補修でもカラー塗装のように部分直しが不可のため一旦クリアーを全面剥離する必要がありリペアー代が割り高となります。
4・ユーザー自信で部分傷補修はできません。
※傷、シミの入った箇所を研磨しても部分的にクリアーを剥いでしまいアルミ素地が出来るだけで不格好な仕上りとなります。


ノークリアー(クリアー塗装無し)の特性
1・アルミ素地剥き出しのため傷が付きやすく、雨風に触れると酸化白ボケ現象を起こします。また水や泥が付いてそのまま放置すればシミ、腐食の原因となりますので普段のメンテナンス(洗浄・ワックス・磨き)など常に必要となります。
2・一部の傷補修や少々の傷消しはサンドペーパーとコンパウンドさえあればユーザー自身でも傷修正可能となります。
3・肉盛りを要す深いガリ傷修正でもクリアー塗装剥離やクリアー再塗装がないため、リペアー代が安く上がります。
4・アルミ素地剥き出しのため、汚れやすく、傷が入りやすくなりますが、塗装の変色、剥げなどはなくなります。
※クオリティの維持は使用条件化や普段のメンテナンスの有無に左右されます。

ノークリアーメンテについてはこちら


ポリッシュオンクリアーには大きく分けて3種類のクリアーがあります。
ポリッシュへのクリアーコートには液体溶剤系(アクリル樹脂)と固体パウダー系(ポリエステル樹脂)があります。
液体溶剤系のアクリル樹脂にも1液型(硬化剤無し)と2液型(硬化剤有り)の2種類があります。


その1・溶剤系(液体)「1液型のクリアーコート」新品ホイール量産型

その2・溶剤系(液体)「2液型の硬質のクリアーコート」硬化剤混合硬質型

その3・静電式(固体)「パウダーコートクリアー」塗膜ではなく樹脂膜の頑丈型(第3のクリアー)


その1・溶剤系(液体)「1液型のクリアーコート」は硬化剤がないため130℃の強制乾燥の専用釜が必要です。透明度が高く、量産向となり新品ホイールはこの「1液型のクリアーコート」が主流です。(ほぼ100パーセント)
弱点は塗膜が薄く肌が弱いため飛び石傷や干渉傷が入りやすくクリアー劣化も早いのが難点で新品ホイールやパーツのポリッシュは数年で白ミミズ、シミ現象が入るのは塗膜が薄く肌の弱い1液型のためです。1液型は見た目重視で肌が軟弱です。


その2・溶剤系(液体)「2液型の硬質クリアーコート」はワンオフでの塗装向きで、1液よりさらに肌の硬い2液型でよりよい高価な塗料を選別して使っています。硬化剤の比率が高いほど塗料代も高くなりますが、塗装肌の硬さも期待できるため私たちのワンオフでのクリアー塗装は2液型が主流となっています。
難点としてツル肌仕上げのポリッシュへの塗装は光沢仕上げのため「足付けの荒研磨」が出来ません。そのため肌が硬くても密着性に関しては1液型と同レベルとなります。
※注)カラー塗装へのクリアーは足付け研磨しますので2液型でも問題ありません。これはあくまでもポリッシュへのオンクリアーの場合の事を指します。


その3・静電式(固体)「パウダーコートクリアー」はポリッシュへのオンクリアーとして現時点では最強のクリアーですがパウダークリアーにも一長一短が有ります。

■パウダークリアーの長所■
1・地金素地への密着性が高い

2・退色性、耐光性が有り色褪せしにくい

3・頑丈な樹脂膜で塗装肌が固く干渉傷や飛び石に強い

パウダーコート肌実証動画 https://www.youtube.com/watch?v=EwgV3IQNJiU

■パウダークリアーの短所■
1・素材を選ぶ(一部海外製など質の悪い鋳造ホイールは不純物が多いためブツなど発砲を起こします。)

2・腐食の有るモノも腐食痕周辺からブツなど発砲を起こします。

3・ポリッシュ光沢がやや引きます。

4・1Psなどディスクや窓部など溶剤カラーを塗って有るモノは温度差の関係上パウダークリアーと混合が出来ない


溶剤系の1液型・2液型とパウダーコートクリアーを解りやすく例えて言えば

例えて言えば・・
1液型は「サランラップを1枚被せた」のに対して2液型は「サランラップを2〜4枚ほど被せた」感じでパウダーコートクリアーは「厚い透明の塩ビシートを被せた」感じと表現すれば判りやすいでしょうか?
サランラップを増やしたり塩ビシートを被せれば磨きフィニュッシュからの光沢の艶引き感、透明度は若干失われます。
見た目重視か強度耐久性重視かのクリアー選択です。



コストが掛かり若干の艶引き感を差し引いても溶剤系クリアーより密着性、耐久性、塗装肌の頑丈さから選択すれば静電式(固体)「パウダーコートクリアー」がポリッシュ面保護には今一番、理想的なクリアーコートと言えるでしょう。

※ヨーロッパのフルポリッシュしたホイールへパウダーコートクリアーを採用した高額ホイールが一部有ります。

スーパーミラーバレル研磨・BBFバフ鏡面研磨は表面磨き込み(ツル肌光沢仕上げ)のためオンクリアー&ノークリアーはご希望に応じて対応いたします。
ダイヤモンドカットは表面削り出し(切削ライン光沢仕上げ)のためノークリアーの場合、繊細な虹色ラインが消えてしまいますので、その虹色ラインを保護するためにオンクリアートップコートは必須条件となります。


リム・ディスクのシミ、腐食がひどいものは、研磨、磨きしても一部完全に取れない場合があります。
シミ・腐食が表面上に浅い場合クリアーを剥離して素地の状態で研磨すれば、シミ・腐食は完全に削除出来ます。しかし、シミ・腐食や虫食い状態がアルミの奥深く内部まで浸透(刺青状)している場合、アルミを一皮剥いて研磨しても完全には取れず、虫食いの黒点、斑点状の現象がやや残ってしまいます。
素材自体の磨き加工のため現品の損傷状態で黒点・斑点状の現象が残るなどの留意点はご理解ください
シミ・腐食が深い物 腐食・虫食いがひどい物
リム腐食 リムシミ リム腐食・虫食い 深い水垢ミミズシミ
腐食が激しかったためシミ跡が、やや目立ちます。また痛んだピアスボルトを洗浄研磨しても光沢は蘇りませんのでピアスボルトを交換するか再メッキ又は塗装する方法となります。
この程度の斑点は近くで凝視しない限りあまり目立ちませんので、車に装着してしまえば気にするほどではないかと思います。評価は個人差がございますので、お客様の判断でお願いします。
虫食いの陥没はやや残ってしまいます。
塗装するかメッキして表面の荒を隠し覆う方法となります。